目の前にはソファに腰かけ、紅茶を楽しむクーがいる。
その横でティーポットを手にさぶらう。
空 「公人さん。やはり、一人で紅茶を頂くのは退屈です。ここにお座りになって下さい」
クーは優雅な動作で隣の席を指し示す。しかし、そこにキッチンから夏海が口を挟む。
夏海「あら。侍従と同席するなんて、クーは淑女としての心構えが出来ていないようね」
侍従の分も食事を用意する淑女というのは、夏海的にアリなのだろうか?
空 「設定に問題があります。ゴシックテイストは構いませんが、主人と侍従のように
一歩引いた関係では、甘える事も出来ません」
夏海「主人と侍従ってのも、退廃的っぽいしスタンス的には間違ってないと思うけど?」
空 「先程の台詞と矛盾しています。夏海は、夏海なりの解釈でゴシックを極めてください。
私は純真な従弟を誘惑する淫蕩な従姉、という方向性で進めてみたいです」
クーは立ち上がるとティーポットを受け取りテーブルに置く。返すてのひらで引き寄せられ
ソファに座らせられた。
公人「……俺としては、そういった設定だったらいらないんだが」
夏海「ほら、公人だって言ってるじゃない。二人の女主人に翻弄される侍従の方がいいって」
公人「それもお断りだ」
移ろいゆく日常の中──
大切なモノが増えてゆく──
愛おしい存在が心に刻み込まれてゆく──
空 「では、中間を取ることにしましょう」
以前の自分には決して戻れない──
決して手放したくない──
夏海「じゃぁ、純真な従弟を侍従として従えさせる淫蕩な従姉たちでいいじゃない」
必ず守り抜く 君を──
君たちを──